三つの神社のある丘 白龍神社
三つの神社が鎮座する丘(愛知県名古屋市北区安井1丁目7)
赤い鳥居が何本も建っています。鳥居をくぐりぬけるとお福稲荷(いなり)があります。戦争前には大勢の参拝客を集めていたという神社です。
お福稲荷の下の道を、さらに奥に進んでいくと、ほら穴があり、そこにもお稲荷さんが祭ってありました。このほら道をくぐっていくと名古屋城に通じるぬけ道ではないかと調べた人がいましたが、ぬけ道ではありませんでした。きた道を引き返し、お福稲荷の前の道を上がっていくと山神社があります。山をつかさどる神様、大山祇神(おおやまつみのかみ)が祭られています。
山神社を下っていくと小さな池があります。かたわらに白竜神社とかいたのぼりが、風になびいていました。
三つの神社が祭ってある小高い丘をおりると、神社の前は、いかにも門前町(神社や寺の前にできたにぎやかな町)という感じです。
山神社
三つの神社をまわってきて、ひとつの疑問がわいてきました。
安井城がかつて建っていたという古い土地ですから、素朴な信仰形態の山神社が丘の頂きに祭ってあるのは、わかります。犬山に通じる稲置街道(いなぎかいどう)に面した地ですから、商売繁盛(はんじょう)の稲荷社が祭られ、多くの人々が参拝にきたということもわかります。
お福稲荷の奥あるほら穴とお稲荷さん
白竜神社が、なぜ、二つの神社とともに祭ってあるのか疑問に思いました。白竜神社と呼ぶからには、白い蛇にまつわる話があるかも知れないと思い、社務所(しゃむしょ)に立ち寄りました。
年老いた婦人がひとりいらっしゃいました。
「白竜神社には、なにか白い蛇にまつわる話でもありますか」
「そうですよ、私が母親から聞いた話です。昭和の初めのことです。このあたりは、小さな山でした。まわりには薮(やぶ)が茂っていました。今では、考えることもできない寂しいところでしたよ」
婦人は、母親から聞いた話をたぐるようにして、ゆっくりと話されます。
「山をけずり、まがりくねった道を、まっすぐにする工事が始まりました。何人もの人が朝早くから、くたくたになって働いていました。
白い蛇が山をけずっている時、にょろにょろとでてきました。工事をしている人が、その蛇を殺してしまいました。その人は、家に帰ると高い熱が出て、うなされ続けて亡くなってしいました。
工事人夫が亡くなってから、近くの子供が熱を出して亡くなりました。何人もの子供が亡くなりました。
これは蛇を殺したたたりだろう、白い蛇を祭らなければならないと、静岡県の御前崎(おまえざき)から白竜様をおむかえして、白竜神社を建てました。それから、このあたりはずいぶんとさかえましたよ」
老婦人は、語り終わるとにっこり笑われました。
白竜神社
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