沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」
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2013年10月11日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第17講 黒川治愿の足跡をたずねて 第3回「伝統をうけつぐ──木遣り保存碑」
春日井市内に二つの木遣りの記念碑が建っている。一つは文化センターの裏手にある柏原公園内にある「佐久間義良木遣記念碑」だ。八田川の堤防沿いに建てられていた碑は、昭和四十五年、区画整理事業によって、現在の公園内に移されてきた。 柏原公...
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2013年10月4日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第17講 黒川治愿の足跡をたずねて 第2回「白山神社黒川治愿の碑──味鋺原新田改修記念碑」
白山神社の境内に一つの碑が立っている。碑文は、次のような書き出しで始まっている。 古人云苦ニ在テ而テ後ニ楽ヲ得ル者其感最モ深シト。宣ナル哉我村民ノ如キ艱苦ニ在ル久シカリキ。本村旧ト味鋺原新田ト稱ス。舊今尾藩ノ領地タリ。水田僅...
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2013年9月27日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第17講 黒川治愿の足跡をたずねて 第1回「刀利天狗の丘──春日山公園」
春日山公園は桜の名所だ。落花盛んという風情の今日も、大勢の人が公園に集まり、花見を楽しんでいる。鈴木寿三郎は『味鋺原八景』」に「春日山春雨」と題して、次のような五言絶句を詠んでいる。 春雨如二烟霧一 濛々春日山 遥聞古松...
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2013年9月20日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第8回「赤心富士──六所宮」
冬にしては暖かい日だ。明るい陽ざしが境内にさしこんでいる。老人がひとり、腰をかがめて、拝殿の前に座り日なたぼっこをしている。暖かい日ざしに誘われ、昨日までは蕾だった梅も紅い花びらを開いている。 鳥居の東に六所宮と書かれた大き...
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2013年9月13日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第7回「幻の寺──どんぐり広場」
町歩きの楽しみは、有名な神社仏閣を訪れることでも、すばらしい景観にふれることでもない。 一度も訪れたことのない町の、本通りから一本はずれた小路に入ってゆく。そこには、昔ながらの長屋が残っていたり、朽ちはてた土蔵があったりする...
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2013年9月6日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第6回「石庭──霊光院」
この寺は、臨済宗の名刹である。元和元年(一六一五)、上飯田の斉藤四良右衛門が祖先の冥福を祈って建てた。白砂が陽光にきらめいている霊光院の庭は、石と砂だけでできている。霊光院という寺の名は、四良右衛門の法名の霊光院吉岸宗禅居士からと...
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2013年8月30日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第5回「トロッコ道──大曽根中学校」
「とてもあの人にはかなわない」。上飯田の古老たちが、異口同音に賞賛する人がある。今年九十五歳になる幸村宗一さんだ。かくしゃくたるものだ。かつて幸村さんから、老いてなお元気でいる方法を三つ伝授された。 「上を向いて歩きなさい。...
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2013年8月23日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第4回「焦げた灯籠──長全寺」
本堂の高い檀の上に釈迦牟尼仏の像が安置してある。目を凝らし見てみる。薄暗くて像がはっきりと見えない。 「私の寺は戦争で焼けてしまいましたが、この本尊だけは一宮の萩原にある成福寺に預けてありましたので助かりました。 成福寺は...
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2013年8月16日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第3回「黒川治愿と林金兵衛──三階橋」
春日井市の西部、八田川と新木津用水が合流するところに朝宮公園がある。公園に沿うようにして新木津用水が流れている。朝宮公園の傍らに黒川治愿を顕彰した木津用水改修之碑が建っている。この碑は戦後新しく建てられたものだ。戦前に、この地にあ...
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2013年8月9日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第16講 上飯田界隈 第2回「子どもたちの歓声が聞える──天然プール」
三階橋ポンプ所が建っている場所には、庄内川から取り入れ矢田川の下をくぐって流れてきた水を、庄内用水・黒川・御用水・志賀用水・上飯田用水などに分水するための大きな池があった。 石積みの護岸に囲まれ、庄内川から流れてきたきれいな白砂...