連載
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2013年6月7日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第15講 福徳・中切・成願寺 第2回「花の白雪ふり残る──聖徳寺」
『尾張名所図会』は、聖徳寺を次のように紹介している。 福徳村にあり。天台宗、野田密蔵院の末寺。隣村成願寺は安食重頼、法名常観の菩提寺であるので、安食庄内の本寺で、この寺および中切村乗円寺等、みな常観寺の支院であったが、今は本...
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2013年5月31日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第15講 福徳・中切・成願寺 第1回「矢田川の砂──八龍神社」
こんもりと茂った森が見える。あれが八龍神社に違いないと思って歩いていく。福徳・中切・成願寺の三郷地区を歩いていて、鬱蒼(うっそう)とした森が見えれば、まがうことなく神社だ。その土地の守り神が祀られている場所を鎮守の森という。三郷地...
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2013年5月24日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第10回「災害は忘れぬうちにやってくる──新川洗堰改修碑」
国道四十一号線の新川中橋から右へ曲がると洗堰だ。道はいちだんと低くなっている。庄内川をあふれた水が、新川に流れこむような仕掛けになっている。 堤防の上に一つの碑が建っている。明治十六年の九月に建てられた新川洗堰改修碑だ。碑文...
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2013年5月17日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第9回「上流を見つめる除災地蔵尊──新川と洗堰」
国道四一号の庄内川に架かる新川中橋に立つと、西には養老山地が、東には瀬戸方面の山々が霞んで見えている。河原にはゴルフ場があり、大都会の一隅とは思えないのどかで穏やかな風景である。 このあたりでは、庄内川と矢田川は平行して流れ...
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2013年5月10日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第8回「桜並木──新川堤防改築記念碑」
龍神社の傍らの石段を上ってゆく。石段には公孫樹の葉が一面に散っている。 堤防は桜並木だ。昭和三十年、対岸の喜惣治の堤防に、楠町が名古屋市と合併したのを記念して、六百数十本の桜の木が植樹された。比良の堤防にも、喜惣治の堤防にあ...
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2013年5月3日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第7回「季節はずれのかきつばた──蛇池公園」
鬱蒼とした森の中に、一本の細い道が続いている。道の奥には天神社が祀られている。 「昼でも薄暗い、気持ちの悪い道だった。恐いものだから、あの森には子どもたちは誰も近付かなかったなあ。今の高架の下の辺に森はあったよ。」 古...
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2013年4月26日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第6回「歯痛の観音さま──喜惣治観音」
喜惣治を歩いていて、一人の老人と知りあった。最初に出会ったのは、神明社の南側にある天王社だ。祠の前に立って熱心に祈っていらっしゃる。どういう神様を祀った祠であるかを尋ねたのが、知り合うきっかけであった。まず、丁寧な言葉づかいに感心...
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2013年4月19日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第5回「公孫樹ちる──喜惣治神明社」
公孫樹の葉が陽光にきらめきながらゆっくりと落ちてゆく。それは、残されたわずかな時を惜しむかのようにゆっくりとした散りかたであった。一晩木枯らしが吹き荒れたら公孫樹はまちがいなく裸木になってしまうだろう。今日は、裸木になっているか、...
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2013年4月12日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第4回「生命をかけた水あらそい──久田良木樋門」
大我麻神社の北側に広大な北部市場がある。北部市場の西側には、久田良木川が流れている。大我麻神社を出て、北部市場に向かう。樋門(ひもん)に出る。樋門から流れ出た久田良木の細い流れは大山川と合流している。久田良木川の北は豊山町、大山川...
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2013年4月5日
沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第14講 大我麻・喜惣治 第3回「水神の祟り──大我麻神社」
古老が往来をみつめながら、ぽつりとつぶやいた。 「大蒲がこんなに人家が建って発展するとは、夢にも思っていなかった。」 喫茶店の前は国道四十一号線である。ひっきりなしに車が通ってゆく。高架の上からも車の騒音が聞こえてくる...