沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」
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2011年2月4日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」補講 猫飛び横町からおから猫 第4回「おから猫」
万松寺の一本西の筋がオタマヤ小路、さらに一本西の筋が御深井小路。オタマヤ小路は、藩祖義直の夫人、高原院の廟所が万松寺にあるところから付けられた俗名だ。御深井小路は、高原院の守護仏であった御深井観音が万松寺に祀ってあるところから付け...
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2011年1月28日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」補講 猫飛び横町からおから猫 第3回「猿面横町」
俗名がいつしか正式の通りの名称となったのは、赤門通り、仁王門通り、万松寺通りだけではない。伏見通りから東に二本目、大須通りから大須観音に入ってゆく道がある。豊竹通りだ。この小路の由来について『大須大福帳』は 文明館の西隣佐藤...
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2011年1月21日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」補講 猫飛び横町からおから猫 第2回「地獄谷」
通りをはさみ北野神社の前に小さな祠が建っている。中には古い観音が祀ってある。誰が、なんのために建てたのだろう。北野神社にくるたびに疑問に思っていた。通りがかりの地元の婦人に尋ねてみた。「この辺りは、昔、遊廓がありました。病気で非業...
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2011年1月14日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」補講 猫飛び横町からおから猫 第1回「猫飛び横町」
夏目漱石に『坊ちゃん』という小説がある。この小説に登場する人物は、赤シャツ、山嵐、うらなり等本名ではなくてニックネームで呼ばれている。赤シャツという呼び方だけで、明治初期の西洋かぶれした気障な男の姿が彷彿としてくる。ハイカラな赤シ...
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2011年1月7日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第6回「榊の森」
神樹である榊は、境木の意で付けられた名で、神域の境界に植えられていた木であるという。 金山の氏神である白山神社の森は、かつては榊の森と呼ばれていた。 『金鱗九十九之塵』は、榊の森について、次のように記している。 当社は榊...
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2010年12月31日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第5回「直礼の森」
直礼の森は、大日の森、あるいは如来の森とも呼ばれた。『張州志略』は「大日の森里老曰く、往昔伽藍の廃墟なり。今、老松一株存すのみ」と記している。伽藍の中に鎮座していた大日如来、それに由来して、大日の森、あるいは如来の森と呼んだのであ...
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2010年12月24日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第4回「九丁堀」
市民会館の北側に古渡公園がある。公園の地下の駐車場に車を入れるためによく出かけるが、公園で遊んでいる人の姿を見かけることは、ほとんどない。公園に住みついている人が、大勢いるからだ。地上の公園は閑散としているが、地下の駐車場はいつも...
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2010年12月17日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第3回「山の内」
神明社の西側、国道十九号の近くに、向きあって建っている寺がある。曹洞宗の洞仙寺と真宗大谷派の善正寺だ。神明社と二つの寺とを結んだ三角形を山の内と呼んでいた。伊勢山には、七つのなだらかな山があった。その山の中の社寺であるから山の内と...
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2010年12月10日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第2回「巻の森」
奥村徳義の『松涛棹筆』に「古渡東本願寺辺之古覧」と題した絵図が載っている。享和年間(一八〇一~一八〇四)の御坊とその周辺を描いたものだ。御坊の南側には、樹々が描かれ、「おいせの森」と記されている。 東御坊の北側は、下茶屋町だ...
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2010年12月3日
沢井鈴一の「俗名でたどる名古屋の町」第8講 バンコ長屋から榊の森 第1回「バンコ長屋」
昔ながらのたたずまいの町の情景が、日々に姿を変えてゆく。久しぶりに訪れた町の変貌に驚くことが、しばしばある。円頓寺の例をもちだすまでもなく、町の移り変わりは、ここ二、三年の間、特に顕著だ。 開発という名のもとに、町は破壊され...