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加藤 博司 日本美術刀剣保存協会名古屋支部長の解説要約
刀は奈良時代に青銅製の直刀が鉄製になり、現在の日本刀の姿になったのは、平安時代の中期から末期にかけてのことです。この時代の作者で言えば伯耆(ほうき)国の安綱、京都三条の宗近の作品が代表的なものです。
太刀は太刀緒を用いて刃を下にして腰から下げるもので、長さは2尺5~6寸(約76~79cm)が一般的な太刀と言われています。室町時代になると、一対一が原則の一騎討ちから集団戦術への戦法の変化もあり、刃を上にして腰に差す刀が出現しました。長さは2尺3~4寸(約73~76cm)が上寸と言われています。これ以上長いと、抜くときに一気に抜くことが出来ません。今回の展示品の中で無銘のものがありますが、3尺(約91cm)以上の長い太刀を、後世になって短くするときに銘の記された柄を切り落としたため無銘となったものです。
日本刀は、柔らかい芯鋼が 硬い皮鋼に包まれた構造になっています。また、焼入れするときも刃先には薄く粘土を塗って硬度を増すような工夫がされています。このため、折れず、曲がらず、よく切れる日本刀の特性が完成され、他国には無い 大変な発明だと考えています。
平安時代末期に作られた安綱という太刀は、現代にも通用する技術と美しさを持っています。刀剣の歴史で、最も華やかだったのは、後鳥羽上皇(在位:1183~1198)が全国の有名な刀工を招き鍛刀させたという記述もあり、その頃であったと考えます。
まず姿で時代をつかみ、地金の構成、刃紋により作者や生産地を当てるのが入札鑑定の競技法になっています。20年ほど前までは、老人が自宅の蔵から刀が出てきたので危険なので困っていると言われたものです。それが最近では、若い女性が刀に対してものすごく興味を持たれているので、大変ありがたいと思っています。
日本刀は鉄を最高に表現した美術品であると自負しています。決して怖いものではないことを皆さんに知って頂くために、今後も展示会を開いていこうと思っています。