沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第9講 下街道の山田庄 第2回「金神社」

金神社

山田天満宮の境内社として祀られている金神社

山田天満宮の境内社として祀られている金(こがね)神社

山田天満宮の境内社として金(こがね)神社が祀られている。金神社は延享三年(一七四六)の創建で、祭神は「岐神」「金山彦神」「大国主神」。神社には、金神社の名前にちなんでか、お金を洗うことができるようになっている。お金を洗うと金銭に不自由をしないようになるという。

真剣な表情で、百円玉や五百円玉に水を注いでいる人の姿が見られる。

お金を洗えば、金銭が何十倍にもなるという信仰で名高いのは、鎌倉の銭洗い弁天だ。全国到る所から銭洗い弁天には、お金に縁があるようにと人々がおし寄せている。

銭洗い弁天は正式な名称は銭洗宇賀福神社という。正嘉元年(一二五七)、北条時頼が「貨幣を洗えば清浄な福銭になる」といったところから、銭を洗う風習が起こった。銭を洗ったところ、思いもかけない大金を手にしたという噂が広まり、銭を洗うことが人々の間に定着していった。

金神社という縁起のよい名前の神社であるからこそ、鎌倉の銭洗い弁天と同じような風習が生まれたのであろうか。

神社脇の小屋でお金が洗える。お金を洗うと金銭に不自由をしないようになるという

神社脇の小屋でお金が洗える。お金を洗うと金銭に不自由をしないようになるという

地図


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沢井 鈴一(さわい すずいち)
沢井鈴一

1940年 愛知県春日井市生まれ。明治大学文学部卒業後、市邨学園高等学校で国語科を教え、2000年3月に定年退職。名古屋市中区、北区等の生涯学習センター講師を務めるかたわら、堀川文化探索隊代表として長年にわたり堀川文化の地を調査・探索し数多の企画展を実現。著書に『浮世絵は愉しい―沢井コレクション百選』『伝えたい―ときめきを共有する教育』『堀川端ものがたりの散歩みち』『花の名古屋の碁盤割』『名古屋本町通りものがたり』など多数。
Webサイト:開府400年・名古屋の歴史と文化