沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第8講 志賀の里 第5回「綿神社」

綿神社

綿神社. 愛知県名古屋市北区元志賀町2丁目53

綿神社. 愛知県名古屋市北区元志賀町2丁目53

綿神社は延長五年(九二七)醍醐天皇の命によって調査され、国の神社として指定された『延喜式』の神名帳にも載っている由緒ある神社である。『尾張名所図絵』には、綿は海の仮字で、昔はこの辺まで入海であったと記されている。

綿神社の綿は朝鮮語(pata)の海と同源で、綿の字は、あて字。入海であった志賀の地に海神を祀ったのが綿神社である。祭神は誉田別尊、玉依姫命、神功皇后の三神。玉依姫命は、綿津見神の女。海の神である綿津見神の女である玉依姫命を祀ってある所にも志賀の地が太古に入江であったことを物語っている。

綿神社の解説板

綿神社の解説板

『西春日井郡誌』によれば、慶長十七年(一六一二)六月二十八日再建の棟札があるという。

昭和二十年五月十四日の空襲によって全焼した綿神社は、明治百年の記念事業として、昭和四十五年十月十日に再建された。

綿神社拝殿

綿神社拝殿

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沢井 鈴一(さわい すずいち)
沢井鈴一

1940年 愛知県春日井市生まれ。明治大学文学部卒業後、市邨学園高等学校で国語科を教え、2000年3月に定年退職。名古屋市中区、北区等の生涯学習センター講師を務めるかたわら、堀川文化探索隊代表として長年にわたり堀川文化の地を調査・探索し数多の企画展を実現。著書に『浮世絵は愉しい―沢井コレクション百選』『伝えたい―ときめきを共有する教育』『堀川端ものがたりの散歩みち』『花の名古屋の碁盤割』『名古屋本町通りものがたり』など多数。
Webサイト:開府400年・名古屋の歴史と文化