沢井鈴一の「名古屋の町探索紀行」第10講 下街道大曽根界隈 第9回「油屋『熊野屋』」

油屋『熊野屋』

赤塚町にある享保十年(一七二五)創業の油屋「熊野屋」

赤塚町にある享保十年(一七二五)創業の油屋「熊野屋」

赤塚の町名由来を『尾張名陽図会』は、次のように記している。

むかし弘法大師、熱田宮に籠り給ひ、夏百日が間、五の日毎に龍泉寺の観世音に詣で、余の日にはこの大曽根の地に檀をかまへ、護摩を修行し給ひけるとかや。その旧跡今に残りてすべり山といふ。その地に草生ぜずといふ。この時に阿伽の水を汲み給いし所を号けて阿伽塚といふ。今の赤塚町これなり。

赤塚町に享保十年(一七二五)創業の油屋「熊野屋」がある。

昭和四十九年(一九七四)に、鉄筋コンクリート造りに改築されたが、店の奥は文化五年(一八〇八)に建てられたものである。

資料室には、明治四十三年の一升桝や石油用の一升徳利等が保存されている。

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沢井 鈴一(さわい すずいち)
沢井鈴一

1940年 愛知県春日井市生まれ。明治大学文学部卒業後、市邨学園高等学校で国語科を教え、2000年3月に定年退職。名古屋市中区、北区等の生涯学習センター講師を務めるかたわら、堀川文化探索隊代表として長年にわたり堀川文化の地を調査・探索し数多の企画展を実現。著書に『浮世絵は愉しい―沢井コレクション百選』『伝えたい―ときめきを共有する教育』『堀川端ものがたりの散歩みち』『花の名古屋の碁盤割』『名古屋本町通りものがたり』など多数。
Webサイト:開府400年・名古屋の歴史と文化