辻淳夫理事長「藤前干潟保全活動」について語る
― 藤前干潟を守る活動の経緯
伊勢湾の中の特に豊かな名古屋の海にやっと残っていた最後の場所をゴミ埋立場にする計画が出てきた時に、市民の方々が「自分のゴミを出すのはどうも嫌だな」と。「鳥のことは良う知らんけども、そういう最後の大切な場所を自分のゴミでつぶすのは、自分としては嫌だ」ということで、だんだん理解者が増えて、まあ議会にもいろんなことをお願いして10万人請願ということで、10万人以上の11万8千人の署名が集まって、それでアピールをして。
長いことかかったんですけども最後の段階になってですね、アセスメントということで干潟の生き物たち(にとって)いかにここが重要な場所であるか。生物が多いだけじゃなくて、渡り鳥が集中して、とくにシギチドリが南のオーストラリア、ニュージーランドから春先渡ってきて、ここで中継してエサを食べて、また北国のアラスカとかシベリアで繁殖をすると。またここへ帰るということをやってるんです。 地球を旅しているそういう鳥たちにとってのキーポイントなんだと。そういう所を私たち人間が自分たちの都合だけ考えて壊していいのか、という事でかなり多くの人が心を動かされて「何とかしよう」と。「あと2年半しかない処分場をどうするんだ」という風に言われた時に、市長さんが非常事態宣言を出して、「じゃあ、この2年で2割のゴミを減らそう」という風に決断をされた時、「ゴミの減量なんて初めは無理だ」と言っていたのが目標を超えて23%という結果を出して、それが本当に驚きでね。
― 鳥も人も助かる道
海からのいろんな命を私たちも食べているわけですから、そういう場所をどう考えるかというところで、「鳥か人か」と言われていたけれども、実は「鳥も人も助かる道を選ぶ」か、「鳥も人もダメになる道を選ぶ」かの選択だったんだ。保全の道、自分たちにも助かる道を選んだんですね。このことがすばらしい。「やれば出来るじゃないか」「本気で思えば出来るんだ」という思いになったということが、とても素晴らしい。
― COP10開催に向けて
春のこの時期がいちばん干潟も楽しめるしいい時期なので、どんどん毎年(干潟観察会や藤前干潟の保全活動を)広げてゆきたいと思っています。 とくに来年、COP10(開催)ということで世界の方々にも(名古屋に)来ていただけるので、市民が手づくりでやってきたことの素晴らしさとか、自分たちが持っている思いをフルに出せる場というのは大事にしてゆきたいと考えています。
生きものまつり
2009年4月26日(日)、名古屋市港区にある藤前活動センターでNPO法人 藤前干潟を守る会主催の「生きものまつり」が開催されました。 実際に干潟に入れる「干潟観察会」や環境をテーマにしたミュージカル、紙芝居などが上演され参加者を楽しませていました。
干潟観察会
潮が引いた正午頃、二回に分けて干潟観察会が行われました。 風が強く少し肌寒さもありましたが多くの親子連れが参加しました。 スタッフに案内され干潟に足を踏み入れた参加者らは、グループで協力してスコップやザルを使い干潟の生き物を探索。普段見慣れない泥の中の生物を見つけた参加者はスタッフから名前や特徴について興味深そうに聞いていました。