COP10とは
COP(Conference of the Parties)とは、国際条約の締約国が集まって開催する会議のことをいう。生物多様性条約のCOP10とは、「生物多様性条約第10回締約国会議」の略称。
生物多様性条約は、1992年にリオデジャネイロにおいて開催された国連環境開発会議(地球サミット)の主要な成果として、砂漠化対処条約、気候変動枠組条約とともに誕生した。
生物多様性条約の目的は、
- 生物の多様性の保全
- 生物多様性の構成要素の持続可能な利用
- 遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分
の3つ。そのために締約国がとる措置等について条約によって規定している。現在190か国及び欧州共同体が加盟している。
COP10 名古屋議定書・愛知ターゲットが採択されて閉幕
地球上の生物や生態系の保全のありかたついて話し合う「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が2010年10月30日、生物遺伝資源の利益配分(ABS)に関する国際ルール「名古屋議定書」と2020年までの生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」を採択して、閉幕した。
名古屋議定書は今後、50ヶ国の批准が完了した90日後に発効される。次回の締約国会議は2年後の2012年、インドのニューデリーで開催される。
COP10に先立ち開催された「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第5回締約国会合(COP-MOP5)」では、「責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択された。
COP10、COP/MOP5での成果
愛知ターゲット(ポスト2010年目標(2011~2020年))の骨子
- 「2020年までに生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」
- 世界に占める保護地域の割合を陸域17%、海域10%と設定するなど、20の個別目標が合意された
- 中長期目標 「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される。」
遺伝資源のアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書の骨子
- 遺伝資源を利用して得た利益は、合意した契約条件に基づいて分配する
- (途上国が求めた)過去の遺伝資源は利益配分の対象外
- 特定国家の生物遺伝資源を利用して、医薬品や新素材などを商品化する場合、あらかじめ資源保有国の承認を受ける必要がある
名古屋・クアラルンプール補足議定書(遺伝子組み換え生物が生態系に被害を与えた場合の補償ルール)の骨子
- 遺伝子組み換え生物(LMO)が輸入国の生態系に被害を与えた場合、各国政府が原因事業者を特定し、原状回復や賠償を求めることができる
- 原因事業者が補償しない場合、政府が代執行する
- 遺伝子組み換え生物から作られた加工品は対象外