シリーズ愛知万博10周年No.2 大村秀章 愛知県知事に聞く

愛知万博長久手会場と大村秀章 愛知県知事
愛知万博長久手会場と大村秀章 愛知県知事

愛知万博の地域に果たした役割、理念の継承、環境にやさしい新技術の変遷。愛知万博10周年の2005年秋に開催される「第32回全国都市緑化あいちフェア: 花と緑の夢あいち」の概要、また今後の愛知の姿などをお聞きしました。

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動画

【動画】シリーズ愛知万博10周年No.2 大村秀章 愛知県知事に聞く

-インタビューの内容を要約して記事にしています-

愛知万博開催の意義

万博は、国の力を見せる見本市として始まりました。大阪万博(1970年)は、日本の高度成長の集大成であったと思いますが、2005年に開催された愛知万博は、まさに 「自然の叡智」の名のもとに環境をテーマにかかげた画期的な万博でしたし、万博の歴史を大きく塗り変えた万博であったと考えています。我々はその理念を継承していく必要があるので、愛知万博終了後の2010年には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)、2014年にはESDユネスコ世界会議を誘致しました。愛知・名古屋から世界に向けて地球環境を大事にすることを発信し、これからも発信し続けてゆくつもりです。こうした流れが出来たことでも愛知万博開催は意義があったと思います。

花開く環境にやさしい技術

愛知県は日本で最大の産業集積地です。愛知万博でも自動走行のバス(IMTS)とか燃料電池ハイブリッドバス(FCHV-BUS)の運行など、21世紀を先取りするモビリティー手段も展示を行いました。それから10年の時を経て、EV(電気自動車),PHV(プラグインハイブリッド自動車) の普及はもちろん、FCV(燃料電池車)の発売も開始され、環境をにらんだ新たなテクノロジーを生み出したことも愛知万博の成果でした。FCVに関しては、東京都が東京五輪に向けて水素社会を世界にむけてアピールする目的で、FCVや燃料の水素製造ステーション普及を進めています。愛知県はFCVを製造しているところなので、より整備を進め世界をリードするFCV環境技術のモデルとなる地域になり、また 自動車だけではなく水素エネルギー社会システムのモデル地区として世界に向けて売出し、発信できればと考えています。これを実現するために水素ステーションの普及に愛知県が前面に立って整備や運営費の補助を行うことも決定しました。また FCVの購入に対しても中小企業の皆さんには国の補助への上乗せや減税などの形でバックアップしています。
愛知万博の会場へのアクセス手段として導入されたのが日本初の磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)です。地下鉄の藤が丘駅(名古屋市)から八草(豊田市)間、約9キロを結び、万博開催時には多くの来場者を運びました。2014年にはリニア中央新幹線が着工し、万博で試された技術が着実に進歩し花開いて来ていると感じています。

愛知万博10年(2015年)ー花と緑の夢あいち 開催

2015年は愛知万博から10年目の節目の年になります。それを記念して愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で9月12日から11月8日までの約2ヶ月間、「第32回全国都市緑化あいちフェア: 花と緑の夢あいち」を開催いたします。環境をテーマにした愛知万博でしたから、その理念を継承する意味で花と緑をテーマにしました。愛知県は過去50数年間、花の生産が日本一の地域です、二番手の千葉や福岡の3倍ほどの生産額を誇っています。まさに花の王国愛知なので、花いっぱい、緑いっぱいの素晴らしいイベントを季節のいい秋に行うよう準備を進めています。会場の整備も進行中で万博で使用された大芝生広場を拡張、ステージもつくり1万人規模のコンサートも開催できるようにリニューアルしています。また、自然と人との「仲介」となって自然解説を行う森のインタープリターの世界大会も行われます。「サツキとメイの家」は万博終了後も人気を博していますが、会期中スタジオジブリのみなさんとコラボしてアトラクションも開催する予定です。

人が輝く愛知を

愛知県は世界をリードする産業技術の拠点、テクノロジーの集積地としてこれからも自動車産業、飛行機産業、航空宇宙産業、それからロボット産業といった日本でしか出来ないハイテク産業のメッカであることをアピールしたいと思っています。また愛知は、信長、秀吉、家康といった三英傑の生誕地でもあり、明治時代以降も日本の伝統文化の中心でもありました。技術、文化、環境を大事にする根本は人ですから、人を大事にし人が輝く愛知を皆さんと一緒につくってゆきたいと考えています。

愛知、名古屋の魅力発信

残念ながら海外で愛知・名古屋は知られていません。まずは知ってもらうために"Heart"of JAPAN AICHI-NAGOYAというキャッチワード及びロゴマークを作成しました。日本のセンター中心は心、それは何かというとTechnology(技術)とTradition(伝統)ということで、多くの方に愛知、名古屋に来ていただき、愛知、名古屋、そして日本の良さを知っていただきたいと思っています。日本のいいところが凝縮されたのが愛知、名古屋だと思っていますので、これまで以上に観光、集客に力を注ぐつもりです。

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