ステイタスを乗せた豪華な車
自動車の基礎技術は完成したが、ヨーロッパでは、まだ馬車の延長と考えられ、貴族や特権階級のための特別な存在であった。もちろん、アメリカでもフォード・モデルTなどの大衆車とは違った道を歩む高級な自動車が続々とつくられていた。それまで馬車をつくっていたコーチビルダーは、さまざまなな装備で充実かつ高性能化したシャシーに想像を絶するほど豪華なボディをのせて、その腕を競い合った。高級車も爛熟期を迎えたのである。しかし、第1次世界大戦や大恐慌のため特権階級は没落の一途をたどり、路上の華ともいうべき超豪華車もしだいに姿を消していったのである。トヨタ博物館 カタログより
ドゥローニー ベルビュ タイプHB6L(1911年・フランス) Delaunay-Belleville TypeHB6L(1911,France.) | ||||||||||
ミネルバ 30CV タイプAC(1925年・ベルギー)Minerve 30CV TypeAC(1925,Belgium) | ||||||||||
イスパノスイザ 32CV H6b(1928年・フランス)Hispano Suiza 32CV H6b(1928,France) | ロールスロイス40/50HP ファンタムⅢ(1937年・イギリス)Rolls-Royce40/50HP PhantomⅢ(1937,U.K.) | |||||||||
パッカード トゥエルブ<ルーズヴェルト専用車>(1939年・アメリカ)Packard Twelve<Roosevelt's Car>(1939,U.S.) | ||||||||||
大量生産によってコストダウンしたことをはじめ、簡略化した機構などで自動車を生活のなかのなくてはならないものとしたフォード・モデルTが世界に与えた影響は大きく、その存在は絶大なものがある。しかし、アメリカでは自由競争から多くのメーカーがフォードへ挑戦したことで自動車技術はさらに発展。ヨーロッパでもフォードを目指してさまざまなメーカーが実用車の生産に乗り出してきた。大衆の手によってモータリゼーションが始まったのだ。トヨタ博物館 カタログより