パイオニアの時代
自動車は人類にとって見果てぬ夢であった。われわれの先祖はちょうど現代人がタイムトラベルを夢見るように牛馬や人の力にたよることなく、みずからの力で動く新しい陸上輸送の方法を想像した。そして、それを現実のものとして、さまざまな試行を繰りかえし、現代に至る。ではなぜ、ガソリン自動車は誕生したのであろう。もちろんそこには誰ひとりとして天才は存在しない。自動車は人々の努力や技術の集積によって生まれるべくして生まれたものであり、人類が待ち望んでいたものだったからである。もちろん、パイオニアカーの時代は、自動車史の基礎を築きあげたと同時に、自動車技術の定型という貴重な役割を果たしたことはいうまでもない。トヨタ博物館 カタログより
ベンツ パテント モトールヴァーゲン<レプリカ>(1886年・ドイツ)Benz Patent Motor "Repllca"(1886,Germany) | ド ディオン ブートン13/4HP(1899年・フランス)De Dion-Bouton13/4HP(1898,France) | |||||||||
パナール ルヴァッソール B2(1901年・フランス) Panhard et Levassor B2(1901,France) | オールズモビル カーブド ダッシュ(1902年・アメリカ) Oldsmobille Curved Dash(1902,U.S.) | |||||||||
スタンレー スチーマー モデルE2(1909年・アメリカ)Stanley Steamer Model E2(1909,U.S.) | ||||||||||
ロールスロイス40/50HP シルバー ゴースト(1910年・イギリス)Rolls Royce 40/50HP Silver Ghost(1910,U.K.) | ||||||||||
モータースポーツは人と自動車が出会ったときからはじまる。人を越えた速さと力は、当時の人々を魅了し、人間の生まれ持つ本能ともいうべき競争心や闘争心をかきたてるには格好の素材だったのだ。人々はロマンを求め、自動車を愛し、より速く走らせた。それが結果的には時速15キロで走り出した自動車をわずか50年足らずで、時速300キロ台で走らせることになるのだが、決して自動車技術発達のために行われたものではない。モータースポーツは他人より1秒でも、1メートルでも速く走りたいとういう純粋な心から生まれたものなのであり、そこには自動車発達への義務感はなかったのかもしれない。トヨタ博物館 カタログより