現在復元作業が進む名古屋城本丸御殿。その中で最大の広さを持つ棟「表書院」の上棟を記念した式典が2011年7月12日(火)、名古屋城内で行われました。
名古屋城本丸御殿は、近世城郭御殿の最高傑作と言われ国宝に指定されていた建物です。京都二条城の二の丸御殿と並ぶ武家風書院造の双璧とされていました。1945年(昭和20年)5月、空襲により天守閣、本丸御殿ともに焼失。1959年(昭和34年)に天守閣は再建されましたが、本丸御殿跡には礎石が残るだけでした。幸いにも実測図、古写真、絵図や障壁画など、400年以上前の姿を今に伝える資料が多数残っていたこともあり、2009年(平成21年)1月、本丸御殿復元工事が着工しました。
名古屋城本丸御殿復元平面図と復元計画復元工事は3期に分けられています。2009年~2013年の第1期では玄関・表書院等を、2011年~2016年の第2期では対面所・上台所等、2014年~2018年の第3期では上洛殿・黒木書院等を復元し、名古屋城本丸御殿が完成します。現在、第1期の復元工事が進められており、2010年10月には名古屋開府400年に合わせて玄関の復元過程が公開されました。
式典に先立ち、棟木を本丸御殿の式典会場まで運ぶ木曳きが平針木遣り音頭保存会の木遣り音頭とともに行われました。この日は名古屋城無料開放も実施され、多くの市民や観光客が珍しい木曳きの様子に見入っていました。
棟木に結んだ綱を引いて棟木を棟の位置まで持ち上げる儀式「曳綱(ひきつな)」の様子式典では、運びこまれた棟木を表書院へと運び込む「棟木納め」、棟木に結んだ綱を引いて棟木を棟の位置まで持ち上げる儀式「曳綱(ひきつな)」、棟木を固定するため棟木を土で打ちつける儀式「槌打(つちうち)」が執りおこなわれました。
平成の市民普請にふさわしく、「曳綱(ひきつな)」儀式では観覧していた市民にも綱が伸ばされ、市長ら登壇者の音頭に合わせて綱を曳きました。
また当日は、記念イベントとして工事現場の見学会や、こけら板の釘打ちなどが体験できる匠の技体験会も開かれました。普段見られない復元工事の過程を直接体験できる貴重な機会ということもあり、多くの市民や観光客が気軽に参加・観覧していました。
名古屋城本丸御殿は2018年(平成30年)の完成を目指して工事が進められています。
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