蓬左文庫 - Network2010

蓬左文庫

家康の蔵書を今に残す「蓬左文庫」

http://www.youtube.com/v/9kBFxh3c1aw

※以下の文章は上の動画から書き起こした内容です。

御文庫(明治初年)。18世紀初頭、名古屋城二の丸庭園内に建設された書物蔵。御文庫(明治初年)。18世紀初頭、名古屋城二の丸庭園内に建設された書物蔵。― 蓬左文庫の名前の由来

蓬左文庫のホウサというのは江戸時代の名古屋の別称です。蓬というのはヨモギですが蓬来の宮を指す言葉です。左というのはひだりなんですが、左方ないし周辺という意味がありまして歴史ある熱田の宮の周辺に出来た新しい町ということで名古屋を洒落て呼んだのが蓬左という意味です。
名古屋城のことも蓬左城と言ってましたので、その蓬左城に伝えられた書物を所蔵する文庫ということで蓬左文庫と命名しました。東京の尾張徳川家の屋敷の中で(昭和10年)開館しました。

展示されている「駿河御譲本」の河内本源氏物語展示されている「駿河御譲本」の河内本源氏物語― 御文庫の基礎となった「駿河御譲本」

名古屋につきましては現在の場所になるんですが、大名道具を中心とした徳川美術館が昭和10年のほぼ同じ時期に開館しています。尾張徳川家の蔵書を中心として優れた日本や中国、朝鮮の書物を所蔵している文庫ということが言えます。蔵書の中心になっておりますのが、尾張藩時代の御文庫ということになります。御文庫というのは藩主の蔵書なんです。

その基礎を築きましたのは初代の義直という人物で、徳川家康の九番目の息子になります。家康の文化的な面を一番受け継いだと言われている人物なんですけれども、自身でもいろんな書物を収集したりもしています。文庫をつくるに当たって基礎とした中心が父親から譲られた書物ということになります。これは「駿河御譲本」という風にいうんですが、なぜかといいますと家康は晩年に駿河に隠居をしております。50代以降に書物の収集などにも非常に積極的にかかわりました。

書物の収集に積極的だった徳川家康書物の収集に積極的だった徳川家康特に武家がつくった最初の文庫と言われる金沢文庫の蔵書であるとか、秀吉の行った朝鮮出兵で日本にだいぶん入ってきたと言われているお隣の朝鮮半島の李朝で作られた技術の高い金属活字印刷の出版物であるとか、当時としての最高レベルの書物を集めていたわけです。
隠居するに当りまして自分のお気に入りの物を持って隠居しまして、大体1万冊あったと言われていますが、(それを)駿河文庫といっていたわけです。亡くなりましたときに江戸と御三家に分けられまして、義直に対して約3000冊を遺品として渡したということになります。非常に貴重な資料が入っていまして、それを中心に初代藩主義直は尾張藩の文庫の基礎を作っていったということになります。

閲覧室ではコンピュータを使って蔵書のカラー画像を見ることができる閲覧室ではコンピュータを使って蔵書のカラー画像を見ることができる― 将来の市民、研究者のために出来るだけ良い状態で残していきたい

重要文化財になっているものなんかを、そうそう皆さんに手にとって見ていただくわけにはいかないのでカラー画像で見ていただいたり、絵本のようなものも出来るだけカラー画像を整備してご覧いただけるような事を考えています。

今の市民の方だけのものではないので、将来の市民、研究者のために出来るだけ良い状態で残していきたいという事なので、保存を考えつつ、より深い研究なり調査なりをしていただけるようなシステムにしていきたいと考えております。 

(この文章は上の動画から書き起こした内容です。)
日本庭園側から観た蓬左文庫日本庭園側から観た蓬左文庫
当時の蔵書風景を再現した展示当時の蔵書風景を再現した展示
「駿河御譲本」の1つ「内訓」(複製)「駿河御譲本」の1つ「内訓」(複製)
展示室の展示風景展示室
閲覧室閲覧室
デジタル御文庫デジタル御文庫
書伝大全 李氏朝鮮・嘉靖43年(1564)刊書伝大全. 李氏朝鮮・嘉靖43年(1564)刊
李太白詩. 元刊李太白詩. 元刊
三国志伝通俗演義. 明・万暦19年(1591)刊三国志伝通俗演義. 明・万暦19年(1591)刊
三国志伝通俗演義. 明・万暦19年(1591)刊三国志伝通俗演義. 明・万暦19年(1591)刊
内訓. 李氏朝鮮・万暦元年(1573)刊内訓. 李氏朝鮮・万暦元年(1573)刊
内訓. 李氏朝鮮・万暦元年(1573)刊内訓. 李氏朝鮮・万暦元年(1573)刊
群書治要. 元和2年(1616)刊群書治要. 元和2年(1616)刊
群書治要. 元和2年(1616)刊群書治要. 元和2年(1616)刊
重要文化財 斉民要術. 文永11年(1274)写重要文化財 斉民要術. 文永11年(1274)写
重要文化財 斉民要術. 文永11年(1274)写重要文化財 斉民要術. 文永11年(1274)写
重要文化財 続日本紀. 鎌倉時代(13世紀後半)慶長19年(1614)補写重要文化財 続日本紀. 鎌倉時代(13世紀後半)慶長19年(1614)補写
重要文化財 続日本紀. 鎌倉時代(13世紀後半)慶長19年(1614)補写重要文化財 続日本紀. 鎌倉時代(13世紀後半)慶長19年(1614)補写
重要文化財 河内本 源氏物語.  正嘉2年(1258)写重要文化財 河内本 源氏物語. 正嘉2年(1258)写
重要文化財 河内本 源氏物語.  正嘉2年(1258)写重要文化財 河内本 源氏物語. 正嘉2年(1258)写
御書籍目録. 江戸時代前期写御書籍目録. 江戸時代前期写

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