地球上の生物や生態系の保全のありかたついて話し合う「COP10(生物多様性条約第10回締約国会議)」が2010年10月30日、生物遺伝資源の利益配分(ABS)に関する国際ルール「名古屋議定書」と2020年までの生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」を採択して、閉幕しました。
白鳥会場には世界各地の生物多様性の危機を警告する看板が並んでいたCOP10に先立ち開催された「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書第5回締約国会合(COP-MOP5)」では、「責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されました。
名古屋議定書は今後、50ヶ国の批准が完了した90日後に発効されます。次回の締約国会議は2年後の2012年、インドのニューデリーで開催されます。
期間中、白鳥公園や熱田神宮公園などの名古屋国際会議場周辺では「生物多様性交流フェア」と題して、国内外の政府や自治体、NGO/NPO、企業などによる生物多様性に関するブース展示や発表、交流が行われていました。最終日である29日は台風の接近の影響で、予定を早めて午後3時から会場の撤収作業が始まり、30日未明まで行われた締約国会議より一足早い閉幕となりました。
締約国会議には締約国179ヶ国、国際機関、先住民代表、市民団体など1万3千人以上が参加。また会議場周辺の「生物多様性交流フェア」会場には、11万8千人を超える人が訪れ賑わいました。
COP10での成果
愛知ターゲット(ポスト2010年目標(2011~2020年))の骨子
- 「2020年までに生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」
- 世界に占める保護地域の割合を陸域17%、海域10%と設定するなど、20の個別目標が合意された
- 中長期目標 「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される。」
遺伝資源のアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書の骨子
- 遺伝資源を利用して得た利益は、合意した契約条件に基づいて分配する
- (途上国が求めた)過去の遺伝資源は利益配分の対象外
- 特定国家の生物遺伝資源を利用して、医薬品や新素材などを商品化する場合、あらかじめ資源保有国の承認を受ける必要がある
COP-MOP5での成果
名古屋・クアラルンプール補足議定書(遺伝子組み換え生物が生態系に被害を与えた場合の補償ルール)の骨子
- 遺伝子組み換え生物(LMO)が輸入国の生態系に被害を与えた場合、各国政府が原因事業者を特定し、原状回復や賠償を求めることができる
- 原因事業者が補償しない場合、政府が代執行する
- 遺伝子組み換え生物から作られた加工品は対象外