2010年3月25日、愛知芸術文化センターにおいて記者会見が行われ、8月の本番に向けた準備状況や今後の展開について報告が行われました。
あいちトリエンナーレ2010 特徴と展開
スペクタクルな作品
草間彌生が栄のオアシス21「水の宇宙船」を舞台に約3000枚のカーブミラーを使ったインスタレーションを行う。
池田亮司が名古屋城で光と音のサイトスペシフィック・インスタレーション「spectra[nagoya]」を9月24・25の2日間オールナイトで実施。成層圏まで到達する64台のサーチライトと10台のスピーカーから出る音の波を組み合わせたインスタレーション。名古屋城2の丸広場に巨大な光のタワーが出現する。
さまざまな場所でアートが展開される
- 愛知芸術文化センター
- 愛知県美術館
- アートスペース
- 名古屋市美術館
- 長者町会場
- 納屋橋会場
- 中央広小路ビル
- オアシス21
- 名古屋城
- 七ツ寺共同スタジオ
- その他(まちなかでの作品展示)
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企画コンペによる展覧会の実施
若いキュレーター達、アーティスト達に対してもトリエンナーレ参加の機会を提供するため、コンペによって選ばれた企画プログラムの展覧会を実施。
愛知芸術文化センターアートスペースで9企画、長者町会場で12企画を予定。
映像プラグラム
「映像の第二世紀に向けて」と題して、愛知芸術文化センター小ホールで世界各国の先端的な長短編映像を約30作品、約2週間上映する。
キッズトリエンナーレ
子供達にも現代美術に触れてもらうために、愛知芸術文化センター8階にキッズルーム(仮称)を設置し、子供達の創作活動をサポートする。
週末を中心に出品参加アーティストも交えたワークショップなどを行う。
芸術文化センターだけでなく愛知県内の様々な場所にも飛び出して、各所で作られた子供達の作品を芸術文化センター内で展示する展開も予定している。
国際交流基金共済事業 西京人プロジェクト
小沢剛(日本)、チェン・シャオション(中国)、ギムホンソック(韓国)ら日中韓3名のアーティストからなるユニット「西京(さいきょう)人」が仮想都市国家・西京国にまつわる屋外作品展示を行う。
ボランティア
ボランティア募集に1000名を超える応募が集まり、トリエンナーレの関心が高まってきている。
質疑応答
― どのようなトリエンナーレを目指しているのか
建畠芸術監督: いままでは非日常の光景を実現させるとか、ワクワク感のある市民の祝祭だとか言葉だけで申し上げていたんですげども、それがようやく実現化される可能性が見えてきた。一面ではオーソドックスな展覧会でもある。そのレベルと軸線は守りながらも、今までには無かった積極的なパフォーミングアーツと美術との総合的な関係を探求することが、思ったとおりのレベルで皆さんに楽しんでいただけるのではないか。
目指すトリエンナーレについて語る建畠芸術監督それから、もう一つはスペクタクル。街のスペクタクル。これはもちろんスペキュタクラーであること自体が美術において不可欠のものというわけではありません、むしろ静かな中で祝祭感のない中で一人だけで鑑賞するような展覧会、それはそれで私は非常に重要視し、美術館でもそうした展覧会を開催してはおりますげども、このトリエンナーレに関しては我々は祝祭感というものを重視したい。スペキュタクラーであることを重視したい。そのような意味で、普段芸術に親しんでいない人たちにも積極的にアートに触れていただきたい。あの手のものが苦手だと思う人たちにおいても高揚感のある求心力のあるイベントに触れていただきたい。
それから他のトリエンナーレ、ビエンナーレとの差別化ということでございますが、大都市で開催されるという意味では客観的な条件はそれほど他の大規模な展覧会と変わらない。例えば越後妻有とか、これから瀬戸内で開催される瀬戸内トリエンナーレというのは山間過疎地、あるいは島めぐりのような非常に特殊な条件がある。街中の商店街などに進出する、こうした体験はまったく無いわけではないんですが長者町地区のように、そこがメインの会場と言えるほど大規模に作品を散在させる、まして一体化させるというのは多分この規模では初めてだと思います。
― トリエンナーレ成功の基準について
拝戸キュレーター:キュレーターの会議がありまして、そこで「成功はどういう基準になりますか」と。やはり入場者数をたくさん、たくさんの人に見て欲しいということをまず第1に挙げられました。
成功の基準について答える拝戸キュレーター2番目に成功の指標として、トリエンナーレが終わったともなにがしかの活動が、街中にそういうアートカフェみたいなものが残って、そこでアートについて語り合う人たちが、場所が作られていく、広がっていくという場所ができればそれは成功と言えるんじゃないか。
それはすぐにバーッと広がったりはしないんですけども、うまく続けていくことによってどんどん芽を開いてそこから新しい都市が生まれてくるということがあるので、それをやはり目指して、トリエンナーレが終わってからも様々な活動が行われていくような場所を作るということを目標にし、かつそれを指標にしたらどうかということを仰っておりました。
トリエンナーレが根付くというよりも、むしろクリエイティブに物事を考えるということを根付かせる場所がたくさん出てくるとそれが指標になるのではないかと思っています。
でも、なんといってもやっぱり入場者数。たくさんの人に見てもらうことはもちろん最重要ですけども、そういったことも考えられるということです。
― チケットについて
質問に答える横山あいちトリエンナーレ実行委員会事務局次長横山あいちトリエンナーレ実行委員会事務局次長:これは4月の1ヶ月間特別先行割引券でございますが、この1000円あるいは当日券1800円これ1枚で全ての会場が1回見れます。納屋橋会場、名古屋市美術館、愛知芸術文化センター、長者町会場、こういった会場が期間中、自分の好きな時に1回見れます。
その他フリーパスというのがございます。これはやはり美術ファンの方、それから特に今回初めて触れられる方々に、「あれはやっぱり何回も見たい」という作品が必ず出てきます。そういう方々のために、前もってフリーパスを買っておこうという方もいらっしゃるかと思いまして、そういうチケットもご用意しております。これは、どの会場でも何回でも見れる、そういう意味でのフリーでございます。
― 入場者数とその数え方について
横山あいちトリエンナーレ実行委員会事務局次長:入場者数でございます。これは想定の入場者数というのがございまして、我々の参考になりますのは、都市部では横浜トリエンナーレさんでございまして、横浜トリエンナーレも各回いろんな入場者数、多少変動はございますが20万、30万あるいは30万を超えるということで、だいたい30万前後が集まってきた入場者数だと。で、我々がその同じ関東圏(の規模を)この名古屋で初めてやるのに、どのくらいになるだろうと想定は非常に難しいんですが、一般的にはその現代美術中心ですと難しいんではないだろうかというお話もございますが、我々としては初めて行うこの愛知のトリエンナーレで、是非横浜トリエンナーレレベルの入場者数を想定していこうではないかということで、概ね30万を想定するということでございます。
あと、カウントに関しましてはやはり今言いましたチケットでですね、何回も見ていただける、あるいはそのチケットでこれしか見たくない方ももちろんいらっしゃる。極めてこの買った枚数と入場者数といううのがカッチリ結びつくというのが難しいものですから、これは我々はやはりカウントする工夫はそれぞれの会場でしたいと思いますし、トータルとしての総入場者数はいわゆる実券の販売枚数と異なる、それより当然多くなるという風に考えております。
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概要
現代美術の国際展
世界各国から約70組のアーティストが出品する日本最大規模の国際的な展覧会。そのほとんどが新作もしくは日本初紹介。
会場 | 作家数・企画数 | 内容 |
---|---|---|
愛知芸術文化センター(愛知県美術館) | 20人程度 | 国際的作家による現代美術展 |
10人・組程度 | 8階ギャラリーGにおける展示・パフォーマンス | |
愛知芸術文化センター(アートスペース) | 9企画 | 企画コンペによる現代美術展 |
名古屋市美術館 | 10人程度 | 国際的作家による現代美術展 |
長者町会場 | 5人程度 | 国際的作家による現代美術展 |
20人・組程度 | 参加型プロジェクト、ワークショップ形式を中心とする作品展示 | |
12企画 | 企画コンペによる現代美術展 | |
納屋橋会場 | 8人程度 | 国際的作家による現代美術展 |
中央広小路ビル | 2人 | 国際的作家による現代美術展 |
オアシス21 | 1人 | 草間彌生の作品展示 |
名古屋城 | 1人 | 池田亮司の作品展示 |
七ツ寺共同スタジオ | 1人 | 高嶺格の作品展示(2週間程度) |
その他 | 2人程度 | まちなかでの作品展示 |
舞台芸術 ・ パフォーミング・アーツ
約20組のアーティストが参加し、ジャンルを超えたパフォーミング・アーツ公演を開催。特に愛知芸術文化センター小ホールでは毎週末劇場公演を行い、国内外の気鋭アーティストによる身体表現が見られる。
またトリエンナーレの特色である「複合性」の具体化として美術館8階でのビジュアルアーツとパフォーミングアーツの融合した先端的表現が上演される。
愛知芸術文化センター 大ホール
団体名 | 出身地 | 演目 |
---|---|---|
プロデュースオペラ | - | オッフェンバック作曲「ホフマン物語」 |
Anne Teresa De Keersmaeker + Jérôme Bel + Ictus (アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル〈ローザス〉 + ジェローム・ベル + アンサンブル・イクトゥス) |
フランス/ベルギー | 『3Abschied ドライアップシート (3つの別れ)』(日本初演) |
愛知芸術文化センター 小ホール
団体名 | 出身地 | 演目 |
---|---|---|
平田オリザ + 石黒浩研究室(大阪大学) | 日本 | ロボット版『森の奥』(世界初演) |
Delgado Fuchs(デルガド・フッシュ) | スイス/スペイン | 『Manteau long en laine marine porté sur
un pull à encolure détendue avec un
pantalon peau de pêche et des chaussures
pointues en nubuck rouge (訳:紺色のウールのロングコートを羽織り、その下に緩んだ襟付きのセーターと桃色の革のズボンと先の尖った赤いヌバックのハイヒール)』 (日本初演) |
梅田宏明 | 日本 | 『Adaption for Distortion』(日本初演) 『Haptic』 |
Jan Fabre (ヤン・ファーブル) | ベルギー | 『Another Sleepy Dusty Delta Day』(日本初演) |
チェルフィッチュ | 日本 | (新作) |
ニブロール | 日本 | (新作) |
Rosas(ローザス) | ベルギー | 『Rosas danst Rosas(ローザス・ダンス・ローザス)』(愛知単独公演) |
愛知県美術館8階 ギャラリーG
団体名 | 出身地 |
---|---|
アントニオ・ベアー | ドイツ |
ボリス・シャルマッツ | フランス |
スティーブン・コーヘン | 南アフリカ |
ティム・エッチェルス | イギリス |
ラ・リボット | スペイン |
ソニア・クーラナ | インド |
屋外パフォーマンス
長者町会場などの都市空間や芸術文化センター内など、その場所の空間特性を活かした体感型のパフォーマンスを行う。
団体名 | 出身地 |
---|---|
コンタクト・ゴンゾ | 日本 |
まことクラヴ | 日本 |
企画コンペによる展覧会
企画コンペにより選考した展覧会企画を、愛知芸術文化センターと長者町会場で展示。
他の国際展等には見られない多角的でユニークな視点による企画展が集合。
映像プログラム
愛知芸術文化センター小ホールにおいて、「映像の第二世紀に向けて」をテーマに、世界各国の先端的な長短編映像約30作品を2週間程度上映。
普及教育(キッズトリエンナーレ)
子どもたちがいつ来ても開放されている発見・創造の空間「キッズルーム(仮称)」を、愛知芸術文化センターギャラリーJに開設。週末を中心にアーティストと一緒に創作や実演体験ができるワークショップを開催。